40代でも転職可能!?言語聴覚士(ST)が年齢関係なく転職できる理由とは

2019年02月06日

コメディカルのコラム
言語聴覚士は年齢に関係なく働ける!

言語聴覚士(ST)は理学療法士(PT)、作業療法士(OT)とともにリハビリの国家資格です。有資格者がまだ少なく、就職や転職に有利と言われています。
この記事では、言語聴覚士が40代でも転職可能と言われる理由について、仕事内容や転職事情などと共に詳しく紹介します。

言語聴覚士(ST)の転職に年齢制限がない理由

言語聴覚士は、言語・聴覚・嚥下障害を対象に、障害のある方を支援する専門職です。1997年に国家資格となった比較的新しい資格ですが、それ以前にも教育や医療の現場で同じ仕事を担ってきた人は数多く、むしろ経験による熟練が求められる仕事とも言えます。
以下で言語聴覚士の転職に年齢制限がない理由について詳しくみていきましょう。

有資格者ゆえ年齢にあまり左右されない

言語聴覚士の有資格者は、2018年3月には約3万1千人となりました。[注1]
しかし、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)に比べるとまだ圧倒的に人数が少ないと言えます。

欧米では言語聴覚士というと、4年制大学の関連学部で所定の単位を習得した学生で、2年間の専門学科の修士課程修了が求められる資格です。
日本では様々な事情から討論が重ねられていましたが、結局、欧米並みの時間をかけて養成をしていたら間に合わないという現状に押され、言語聴覚士の養成課程と国家資格が定められた背景があります。

言語聴覚士が国家資格になる以前から同じ内容の仕事を現場で担ってきたのは、医師、看護師、保健師、その他の医療従事者や養護教諭です。
言語聴覚士が国家資格になってからも、言語聴覚士は名称独占資格なので、資格のない人でも言語聴覚士と名乗らなければ、同等の仕事をすることは可能でした。現在管理職クラスの50歳代では、わざわざ言語聴覚士の資格を取らずに現場で働いている人が大多数と思われます。

実際、経験による熟練がものを言う仕事内容なので、年齢にあまり関係なく需要があります。有資格者であればさらに転職で有利でしょう。

[注1]一般社団法人日本言語聴覚士協会:言語聴覚士とは
https://www.japanslht.or.jp/what/

年齢に関係なく言語聴覚士を目指す人が多い

言語聴覚士の国家試験には一定の受験資格があります。現在のところ、下記のような条件に該当する人が国家試験を受験できます。

*高校卒業後、文部科学大臣指定の大学・短大、あるいは都道府県知事指定の養成所に進んで3年以上通い、必要な知識や技術を修得して卒業
*一般の4年制大学卒業後、文部科学大臣指定の大学・大学院あるいは都道府県知事指定の養成所に2年以上通い、必要な知識や技術を修得して卒業
*大学で厚生労働大臣指定の科目を履修して卒業
*国外で言語聴覚士の知識や技術を習得し、厚生労働大臣に認定を受ける

これに対応して、現在の言語聴覚士養成機関には、2〜4年制の言語聴覚士養成専門学校、4年制大学の言語聴覚士養成学部が存在します。また、海外に留学して欧米の言語聴覚士レベルのハイスペックな知識と技術を身に着けた上で受験に臨む人もいます。

現在、4年制の大学を卒業後に一旦社会に出てから、言語聴覚士の養成所に再入学して資格取得するというケースも増えています。社会人経験で培ったコミュニケーションスキルやマナーなどを言語聴覚士としての仕事に活かすこともでき、年齢に関係なく言語聴覚士を目指す人は少なくありません。

定年まで安定して働くことができる

一般社団法人日本言語聴覚士協会の調査によると、2018年3月末時点で会員の言語聴覚士の7割以上が医療関係機関に所属しています。 [注1]
医療現場において言語聴覚士は、コメディカルスタッフの一員としてリハビリテーション医療に携わります。医療関係機関は、公立私立を問わず雇用条件がよく、本人が望めば定年まで安定して働くことも可能です。

30歳を超えてから言語聴覚士になるときのポイント

このように年齢に関係なく働ける言語聴覚士の資格を取るために、30歳を超えてから専門学校の門を叩く人も少なくありません。しかし、将来性のある職種とは言え、30歳を超えてからの仕切り直しはやはり不安なもの。ここからは30歳を超えてから言語聴覚士になるときのポイントについてお話します。

学校選び

言語聴覚士の国家試験の科目は「基礎医学」「臨床医学」「臨床歯科医学」「音声・言語・聴覚医学」「心理学」「音声・言語学」、「社会福祉・教育」「言語聴覚障害学総論」「失語・高次脳機能障害学」「言語発達障害学」「発声発語・嚥下障害学」「聴覚障害学」の12科目にも及びます。

言語聴覚士受験資格取得のための学校は、3年制の専門学校から4年生の大学卒業後に2年間の専攻科や大学院で学ぶ場合までさまざまです。
年齢を重ねてからの再出発の場合、できるだけ時間を取らずに学びたいもの。あなたの条件に一番合った学校を選ぶことが大切です。学校の選び方は、以下を参考にしてみましょう。

1.高校卒業資格のみの場合:3年制の専門学校に入学して国家受験資格を得るのが最短コースです。

2.大学卒業資格あり(一般の4年制大学を卒業):文部科学大臣が指定した学校あるいは都道府県知事が指定した養成所(専門学校)に2年以上通うのが最短コースです。大学に専攻科として言語聴覚士養成課程を設置している大学もあります。

3.大学卒業資格あり(言語聴覚士の国家試験に必要な履修科目をいくつか履修済み): 例えば心理学科などの卒業生、ろう学校の教員資格や養護教諭資格などを既に持っている場合。大学の専攻科や大学院に入学して必要科目を履修します。

私立の場合、大学も専門学校も、1年間の学費は100万円以上かかります。公立の養成所は国立障害者リハビリテーションセンター学院、県立広島大学コミュニケーション障害学科のみです。

国立障害者リハビリテーションセンター学院は上記3にあたる高度な専門教育機関です。県立広島大学コミュニケーション障害学科は4年制大学なので、一般大学卒業生の場合、単位をいくつか認定してもらえる可能性はありますが、卒業までは4年間かかります。

社会人が学び直す場合、2に当たるケースが多いでしょう。自宅から通える範囲に専門学校がある場合で最短2年間の通学でも、300万円程度の投資は必要です。

若い20代と競えるか

一般社団法人日本言語聴覚士協会の調査によると、会員の大半は20歳台、30歳台で、一番多いのは30歳台です。[注2]
国家資格試験開始後約10年ですので、初期に資格を取った20代がそのまま30
代になったとも考えられそうですが、専門学校がまだ少なかったことを考えると、必ずしもそうとも言えません。ここ何年かに新たに資格を取得した30代も多いことでしょう。

言語聴覚士は身体を大きく動かす仕事や、夜勤などの体力を消耗する仕事は要求されません。むしろ経験に根ざすコミュニケーション能力や思いやりのような人柄が重視される仕事です。もちろん個人差はありますが、若さだけが問題にはならないはずです。

[注2]一般社団法人日本言語聴覚士協会:会員動向(平成30年3月現在)
https://www.japanslht.or.jp/about/trend.html

結婚を考えているなら出産後に就職するべき

言語聴覚士は8割近くが女性。出産、子育てと仕事の両立が課題となっていますが、医療機関の場合、職場に託児所が併設されている場合も多く、子育てしながら働く言語聴覚士も大変多くなっています。

もし、これから言語聴覚士の資格も取り、結婚も考えている女性の場合は、出産前に資格を取得し、出産後に自分のペースで就職をするのがおすすめです。自分の子どもが言葉を覚えていく過程を目の当たりにする喜びも得ることができ、その後のキャリア形成にも役立つでしょう。

言語聴覚士の現状と将来性

言語聴覚士の現状と将来性

一般社団法人日本言語聴覚士協会の調査によると、2018年3月末時点で会員の言語聴覚士が働いている職域は「接触・嚥下」ついで「成人言語・認知」の順に多くなっています。[注2]

現状

上記の調査結果から、高齢化時代を背景に、高齢者の加齢や脳血管障害の後遺症等による言語や嚥下障害のリハビリテーションに携わる言語聴覚士の多さがうかがえます。今後ますます高齢者が増えていくことを考えると、言語聴覚士の需要は高くなる一方と言えるでしょう。

他に言語聴覚士がどのような障害を対象に、どのような機関で働くのかを以下にまとめてみました。

 

言語 言語発達障害 先天性 教育・医療・保健・福祉各機関
失語症 高次脳機能障害 医療・保険機関
精神性 医療・保険機関
声・発声 構音障害 先天性 教育・医療・保健・福祉各機関
高次脳機能障害 医療・保険機関
吃音 精神性 医療・保険機関
聴覚 難聴 先天性 教育・医療・保健・福祉・民間会社
後天性(老人性・高次脳機能障害) 医療・保健・福祉・民間会社
嚥下 嚥下障害 先天性 教育・医療・保健・福祉機関
後天性 医療・保健・福祉機関

 

教育機関 ことばの教室・特別支援学級・特別支援学校
医療機関 リハビリテーション科・脳神経外科・耳鼻咽喉科・歯科・口腔外科・小児科・神経内科・形成外科・精神科
保健機関 児童発達支援センター・老人保健施設(介護・デイケア・訪問看護・訪問リハビリテーション)
福祉機関 障害児入所施設・老人福祉施設(特養・デイサービス)
民間機関 補聴器会社

 

言語聴覚士の仕事の需要は今後ますます増えていくと思われます。高齢者が増えて障害を抱える人が増加するというだけではなく、昨今注目されているのは予防医療の分野です。
将来性民間機関における補聴器会社では補聴器の聞こえの調節など、日常的で需要の多い仕事を担っているのが言語聴覚士です。

病院や施設の中だけでなく、地域包括センターなどでの啓発活動の需要も増えてくると思われます。嚥下障害を防ぐ日頃からの注意点などを幅広く知ってもらうことは大変重要な予防医療です。

また、難聴や構音障害を持った人の家族が当事者とどのようにコミュニケーションを取るか、嚥下障害の家族にどのように嚥下の介助を行えばよいか等、医療施設を退院してからの在宅医療のために必要不可欠な教育活動も見逃せません。

まとめ

コミュニケーションと食べることは、人間にとって非常に重要な能力です。その点で言語聴覚士の果たす役割は非常に大きく、高齢者や障害を持った人ばかりではなくすべての人への働きかけを求められている専門職と言えますね。
言語聴覚士は、一度社会に出てからも資格取得にチャレンジでき、一生の仕事として誇りを持てる今後も有望な資格といえるでしょう。